なんでこんなことに!! 本当に大変なのは術後だった
天国から地獄へ
術前に通された控室で30分ほど様子を見た後、受付で注意事項の説明をうけ、翌日の検診の時刻の確認がありました。午前に検診の予約を入れていたため、念のためにクリニックから歩いて10分ほどのところに宿泊の予定でした。
やっと終わって(さあ、ホテルでゆっくりするぞ~。)と思いながら、1泊分の荷物を持って歩き始めました。目に若干の違和感はありましたが、それよりも(ああ眼鏡なしで見えるようになったんだ!)と実感しました。
ところが、陸橋を渡って、クリニックのある方から反対側に渡る途中で突然視界が効かなくなったのです。頭が真っ白になりました。周囲の様子がなんとなくはわかるのですが、クリニックを出た直後ほど見えません。道順は地図で見てだいたいわかっていましたが、途中で信号を渡る必要がありました。しばらく行くと、人がたまっている気配がするところまできました。そこではっきり気づいたのです。街中の看板の文字はおろか、信号が何色かもわからないことに。
横にいた人の気配が向こうに動いていく気配を感じ、信号が青になったことが察せられたので、渡りました。ホテルに向かうのはひとまず置いておいて、(どこかカフェに入って一旦落ち着こう。目薬もさしたいし。)と思い、それらしい店をさがしました。でもやっぱり見えません。結果的にはホテルまでよりもだいぶ歩いてしまっていましたが、なんとかコーヒーショップにはいりました。
飲み物をオーダーするのも一苦労でした。カウンターにメニュー表があったのですが、見えません。口頭でコーヒーをレギュラーサイズで、とオーダーし、やれやれと思ったのもつかの間。今度はお金を出そうにも小銭が全然わからない! (見えれば小銭で払えるのにぃ~怒)と思いつつ、千円札をなんとか出しました。
数々の試練を乗り越え、やっと座ることができました。コーヒーを一口飲むと、気分も少し落ち着いてきました。クリニックでもらった点眼液をさしてみましたが、やっぱり視界はよくなりません。そういえば「もしなにか緊急事態があればここに連絡してください。」と紙をもらったことを思い出し、荷物の中からなんとか見つけ、さっき後にしたばかりのクリニックに電話したのです。
緊急連絡先としてもらった電話番号をなんとか解読し、クリニックのスタッフさんに状況を伝えました。すると、「あー、おそらくフラップがずれるか、めくれている可能性が大きいですね。そこからこちらまでもどれますか?」とのことでした。これはどうにかして戻るしかありません!!
さっき意気揚々とクリニックを出たときはまだ日もありましたが、店から出てみると、すっかり夕暮れ時を迎えていました。意を決して、もと来た経路を戻り始めました。
なんと! 角膜の表面を縫うことに・・・
クリニックに無事到着し、先ほど手術を担当してくださった先生に状況を説明しました。診察室に案内され、診ていただくと、やはりフラップがめくれてしまっていました。いくらレーシックをしたといっても、”レンズ”がなければ何も見えないんですよね。(泣)
先生は「僕はもう千人以上の患者さんを手術してるけど、ここまでフラップがずれてしまった患者さんは、あなたが初めてかもしれないです。フラップをのばして元に戻すだけでも良いのですが、左目は下瞼のきわが少し盛り上がっている箇所があるので、まばたきが均一にされにくいと思われます。そのことがよりフラップのめくれにつながっているかもしれません。」
次の一言に私の思考は一瞬フリーズしました。「そこで、提案なのですが、糸で目にフラップを縫い付け、フラップが定着した頃に抜糸するのが良いと思いますが、いかがでしょうか。」 目の表面を縫う・・・。糸と針で・・・。感情的には、なぬー!!!!なのですが、一方で冷静に(やるしかないんだよねー)と考えていました。
見えない目で、フラップ縫い付け手術の承諾書にサインし、数時間前に出たばかりの手術室に再び向かいました。
驚‼ いよいよ 目の表面に針が・・・
再び安定剤を一錠飲み、しばらく待った後、手術台に横になりました。よくもののたとえで、”まな板の上のコイ”と言いますが、まさしく今がそうでした。
フラップを縫い付ける左目に、レーシックの時と同様に点眼麻酔薬がほどこされました。ものの像が見えないうえに、なみなみと麻酔薬が注がれているので、上をむいたまま目を洗っているような感覚です。
部屋は真っ暗で、わたしの顔だけにライトが当たっていました。先生が、「それでははじめますので、もし手を止めてほしい時は、片手を挙げて知らせてください。」とおっしゃいました。
何か近づいてきたなぁと思った瞬間、目の表面にすこーしチクッと痛みが走りました。内心(え?麻酔効いててこれ?)と思いましたが、この状況で訴えるほどの痛みではありません。3~4回チクッがきましたが、先生の「うまくいってますので、ご安心くださいねー。」という言葉に、(うまくいってなかったら、困るんだけど~。まだかかるのかな?)と考えていました。
ほどなくして手術はつつがなく終わりました。一方、右目は、ずれてよれてしまったフラップを元に戻し、ワンデーアキュビューの度の入っていないレンズをのせ、翌朝の検診まで様子を見ることになりました。
苦労は続くよ ホテルでも
やっとホテルに到着したものの・・・
外はすっかり日が暮れていました。先程までよりはすこーし見えるようになって、とりあえず早くチェックインしようと、向かいました。近くまできているはずなのですが、多分入り口が通りに面していないのでしょう。同じところを何度か行き来して、やっと細い小道の先にホテルのエントランスがありました。(やっとついたー!!)と思いながらはいりましたが、何やらし~んとしています。なんと受付が1階になかったのです。フロアガイドをさがし、受付は2階であることが判明。(うそでしょ!?エレベーターは一体いずこに?)エレベーターは、建物の中ではあるものの、一度透明ガラスのドアを出たところにありました。よく見えないうえに、雰囲気づくりのためか、すこし薄暗いので、ちょっとしたことがいちいち大変でした。エレベーターの所で中高年とおぼしき外国人のカップルと一緒になりました。荷物をもっていたためか、「You can go first.(お先にどうぞ)」と言ってくれ、先に乗り込みました。受付には着きましたが、また問題です。宿泊者カードを書かねばなりません。先程期せずして英語を使ったノリで言うと、Oh, my god!でした。漢字がまともにかけているのか不安でしたが、怪訝な顔をされた感じは受けなかったので、よしとしました。カードキーを受け取り、再びエレベーターで宿泊階へ。確かネットで予約した際に、レディース専用フロアにしたことを思い出しました。
部屋に着いて荷物を置くと、どっと疲労感がおそってきました。時計は20時を少しすぎていました。レーシック手術を終え、クリニックを出たのが15時頃でしたから、一連のてんやわんやで5時間近く経っていたことになります。
遅めの夕飯を買いにいくことにしました。ホテル内にもレストランはありましたが、精神的にあまりにも疲れていました。来るときに、百貨店系列のちょっとよさげな食品スーパーを見かけたことを思い出し、そこに向かいました。デパ地下を思わせる、こじゃれたお惣菜に目を奪われつつも、(ここはやっぱり大好きな寿司かなぁ~)などと、このときばかりは現状から少し離れることができました。
夕飯をゲットし、ホテルの部屋へと戻り、食事をすませると、入浴は不可なので、シャワーだけ浴びて、床につきました。本当にながーい一日でした。
怒涛の一日が明け、翌日検診へ
チェックアウトの朝は、レストランでのモーニングビュッフェがついていましたが、視界があまり効かないのと、なんとなく人目があるところで食べるのが怖くて、朝食は抜いてしまいました。
10じ半に予約をしていましたが、また途中でなにかあるといけないと思い、早めにホテルを出発しました。クリニックには何事もなく到着でき、(これなら電車に乗って自力で帰れる!)と内心少しほっとしました。
検診はつつがなく終了したものの、普通は一週間後に検診のはずが、その前に3日後にも来てください、となりました。
その後、結局左目の抜糸は2週間後になり、苦労の甲斐あってフラップは無事にきれいについたのです。
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